「どこいくんだよアスカ?」
シンジが私を呼び止める
定期的に行なわれるシンクロテスト
それも終わり既に私たちは帰宅が許されていた
「もうテストも終わったんだし、家に帰ろうよ
今日の結果が良かったからミサトさんが、ご馳走だって言ってたし…」

私の機嫌を伺うかのようにシンジはなおも声を掛ける
(ご馳走ってミサトのことだから
ステーキでしょ・・・)

声に出さずに呟く
シンジの言うとおり三人のシンクロ率は非常に高い数値を出していた
「そっちは…特別実験室の方じゃなかったっけ…?
なにか用事でもあるの?」

のんきな顔で再び声を掛けるシンジ
最初に出会ったときはたんなる少年
とてもじゃないがエヴァのパイロットとは思えなかった
でも…いつのまにか彼はネルフに、いや人類に置いても
欠かせない存在になっていた
今日のシンクロテストでもそれは如実に物語っている
「何処に行ったっていいでしょ!
それとも何?いちいちシンジ様にお断りしなきゃ
いけないっていうの!!」
思わず怒鳴り返していた
シンジの顔を見ていると私は私をコントロールできなくなってしまう
それが何故なのか
判らない
いや判らないフリをしているだけなのかもしれない
ソレを認めることを恐れていた
なにかが変ってしまう
そんな恐怖に
「…ほどほどにした方がいいわ
後戻りは出来ないのよ
……それでもいいの?」

今まで黙していたファーストが口を開いた
シンジとは違い、なにか総てを見通したかのような
そんな瞳だ
「…うるさいわね…あんたにそんなことを言われる筋合いは無いわ!
……自分の事だもの…自分で決めるわ!」

「…そう……なら言う事は無いわ」
「待てよアスカ!」
私は呼び止めるシンジの声を振り切って
通路の奥へと駆け出していた




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「待てよアスカ!」
突然走り出したアスカ
それを追いかけようとすると綾波が無言で制止した
「碇君は行っちゃダメ…」
そういってうしろから抱きとめられる
「なっ…綾波!?」
「今はダメ…もう少ししたら…きっとわかるから
だから今はそっとしておいてあげて…」

釈然としなかった
でも今は綾波の言葉を信じてそっとしておこう
その時の僕はそう思った…



続く
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