あいつはいつもオレを見ていた筈だった
だけど最近の様子はオカシイ
露骨に避けているのがわかる
傍に居なくなってはじめてわかることもある
オレにはアイツが必要なんだと
鈍感だなと自責する
あいつは待っていたはずだ
オレのことを…
苦笑いを浮かべる
そうか…よかったな…
と一言声をかけたつもりだったが
唇が震えて動かない
走り去っていく幼馴染をみつめ
黙って壁を強く殴っていた
手が酷くはれ上がっていたがそれ以上に胸が痛んだ
自然と涙がこぼれおちる
それは肉体の痛みでこぼれおちたものではなかった
そう…いつも隣で笑っていた少女は
手の届かないところに行ってしまったのだと
そのとき…ようやく理解したのだ